3. 幸福は降ってこないし与えられもしない。 自分でつくるもの。

 「お疲れ様でした。お先に失礼しまーす!」

 夕方にオーナーがシフトに入るのと入れ替えに、私は店を後にした。幸いなことに誰からも細かいことは聞かれなかったけど、なんだかモヤモヤし続けている。おかげで頭痛がどっかいっちゃった。いなくなるとなんだか寂しいのが頭痛持ちの悲しい性である。

 家には、あの後すぐに連絡を入れておいた。母さんはやっぱり大慌てでうろたえていたけど、ちょっとだけ慣れた感じもしてそこがなんだか申し訳ないというか、ごめんなさいといった気持ちになった。けどまあ、今はそのことはいい。

 「あ、母さん?どう?健吾帰ってきた?」

 電話に出た母さんは、もう落ち着いた様子でこちらの問に簡潔に答えた。

 「いるわよ〜。ふふ、ふたりでね〜。」

 なんだ気持ち悪い。母さんが健吾大好きなのは知ってるけど、今は私のお母さんでもあるんでしょ!ふたりでいるとか、そんな惚気聞きたくないわよ!

 「キミちゃん、まっすぐに帰ってきてね〜。早くよ、お願いね〜。」

 はいと答えて電話を切る。まったく、20年近く一緒に暮らしてて似てきたなってとこがこれっぽっちもない!あのふたりは!!私に!!!

 原チャリにまたがると、一路家へと急ぐ。いったい何があってあんな大騒ぎにしたんだ?あの馬鹿、どういう魂胆だ!?

 途中やけに赤信号につかまることが多かった。夕焼けがまぶしくてちょうど良かった、事故らないですむ。